後段の
戦後に皇族の身分から離れた旧皇族の復帰案もあることを指摘。
「今の議論は女性宮家を創設するかしないか(のみ)になっているような気がして、そこには違和感がある」
に強く賛同します。
なぜ、今女性宮家だけが議論されているのか。
皇室の存在価値を国民に知らせないまま、なぜ先走って議論されるのか。
皇室とは何か、という本質的な議論がない。
女性宮家問題:政府、検討手順公表 識者意見を毎月聴取へ
政府は6日、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる「女性宮家」の創設など皇室典範改正問題について、今後の検討手順を公表した。担当の内閣官房参与には、皇室制度に詳しい園部逸夫・元最高裁判事(82)を起用。2月から有識者らへのヒアリングを始めるほか、国民からも意見を募る。
ヒアリングは内閣官房の皇室典範改正準備室が中心となり、月1~2回実施する。皇室制度や憲法、宗教、歴史、文化など各分野の専門家のほか、財界や労働組合関係者らが対象。結果を踏まえ、内閣官房が典範改正の素案を取りまとめ、与野党や国民の意見を募った上で正式決定する。
小泉政権の「皇室典範に関する有識者会議」は05年秋、女性・女系天皇容認と女性宮家創設を柱とする報告書を策定。園部氏はこの会議の座長代理を務めた。藤村修官房長官は6日の記者会見で、有識者会議を今回は設置せず、当時の報告書をベースに検討する考えを示唆した。一方で「皇位継承問題とは切り離す」と述べ、テーマを事実上、女性宮家問題に限定。政治的な摩擦を最小限にとどめる姿勢を鮮明にした。
政府高官は園部氏について「女性宮家と女系・女性天皇の議論は分けるべきだという見解の方だ」と説明し、今回の検討が女系天皇容認にはつながらないとの認識を示した。園部氏や準備室は主に、女性宮家になれる皇族の範囲を議論するほか、天皇陛下らの公務負担の軽減を図るため、女性宮家の夫に皇族の身分を与えることなども論点とする見通し。
ただ、民主・自民両党内には、男系天皇を維持すべきだとの意見が根強く、「女性宮家の子孫が将来、女系天皇になる可能性が残る」との反発が予想される。素案の取りまとめについて藤村氏は会見で「相当時間をかけてやっていく。後ろ(期限)を切ることではない」と慎重な口ぶりに終始した。【松尾良】
毎日新聞 2012年1月6日 22時26分
寛仁親王家長女・彬子さま:「女性宮家」早い決着を
2012年1月7日 2時30分 毎日
インタビューに答える彬子さま=大西岳彦撮影
政府が検討作業に入った「女性宮家問題」などに関し、寛仁親王家の長女彬子(あきこ)女王殿下(30)が毎日新聞の単独インタビューに応じ、「お国の決定に任せるしかないが、決めるのであれば早く決めていただきたい」などと思いを語った。彬子さまは未婚の女性皇族8人のうち最年長で、皇族がこの問題について考えを示したのは初めて。
彬子さまは、日本美術史を専攻し、英国オックスフォード大で女性皇族としては初めて博士号を取得。現在、立命館大衣笠総合研究機構でポストドクトラルフェロー(博士研究員)を務めている。
皇室典範は、女性皇族は皇族以外と結婚した場合、皇族の身分を離れると規定しており、このままでは皇族が極端に減ってしまうため、野田政権は年明けと共に、結婚後も皇族にとどまる女性宮家制度の本格的な検討を始めた。
彬子さまはインタビューで、国(政府・国会)に任せるしかないと政治的発言に関し控える姿勢を示しつつ、戦後に皇族の身分から離れた旧皇族の復帰案もあることを指摘。「今の議論は女性宮家を創設するかしないか(のみ)になっているような気がして、そこには違和感がある」と戸惑いを語った。
また、結婚して民間人になるという前提で教育されてきたことを挙げ、「その前提が大きく変わるかもしれないというので、私自身落ち着かない状態です」と心境を吐露した。そして、結婚適齢期の女性皇族が増えることに関し「お相手の方の将来にも関わってくる問題です」として女性宮家問題の早期決着を望んだ。
一方、皇室の将来については「国民のみなさまが皇室をどのように見ておられるか」「国民のみなさまが残したいと思われているか」にかかっているとし、自身が結婚後も皇族にとどまることについては「結婚後も公務をすることに抵抗はありません」と語った。【大久保和夫、川崎桂吾】
◇解説 将来設計を左右 十分な考慮を
政府が改正を検討する皇室典範は、対象を広く一般化した他の法律とは違い、天皇陛下と皇族の23人の立場などを規定したものだ。
女性宮家制度は、独身女性皇族の今後の生き方や将来設計を直接左右する。典範の改正時期によっては「姉が一般人なのに妹は結婚しても皇族」という差が出る恐れもある。宮家を作る女性皇族の範囲をどうするかという問題もある。
皇族は選挙権もなく、政治的言動は控えており、彬子さまも質問ごとに熟慮しながら、国の決定に任せるしかないと自らの立場を強調した。制度上は「意向の確認・反映」が必要事項ではないとしても、典範改正に際しては「若い女性たちの人生を変える」という事実を踏まえた十分な考慮が必要だ。
一方で、国民の理解も欠かせない。2月からの有識者ヒアリングについては、国民に皇室の課題について理解を深めてもらうためにもオープンにして判断の素材を提供すべきだろう。【大久保和夫】