知事選の時からこうなると思っていました。
国場前衆議院議員も大変だと思います。
そして基地問題は沖縄だけの問題ではすみません。我々日本人全体の問題です。
地方の民意で国の外交などが左右されていいものなんでしょうか。
勝てば何でもいいの選挙をすると後のツケが大変です。
有権者の無関心も政治に大きく影響します。
皆さん、少し勉強する時間をとり、選挙と向きあってください。
=普天間移設= 安倍首相に打つ手はあるのか? 奇妙な保革共闘が政権揺るがす地雷に… 「沖縄の民意」盾に埋め立て承認撤回も
2014.11.27 05:37更新 産経
「明日になれば分かる」
政府高官は21日夕、こうつぶやいた。この朝、首相官邸での閣議後、安倍晋三首相と江渡聡徳防衛相は2人きりで会った。おそらくこの高官は会談の中身を伝え聞いたのだろう。
翌22日朝、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先となる名護市辺野古で異変が起きた。
移設に向けた海上調査への妨害を排除するための海上保安庁のゴムボートを係留する浮桟橋は撤去され、ボートも陸揚げされた。
8月に始まった海上調査は台風などの影響で9月に中断したが、11月19日に浮桟橋を再設置し、近く調査再開の予定だった。それが、わずか3日で再び中断に追い込まれた。
普天間飛行場の県外移設を掲げて政権交代した民主党は迷走したあげく野党に陥落。平成24年12月にその後を受け継いだ首相は、沖縄県の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事の信頼を得て、昨年12月に辺野古の埋め立て承認を取りつけた。これで移設計画は最大の難関を越え、来秋の埋め立て着工も見えてきた。
にもかかわらず、首相が海上調査を再中断したのは、沖縄で吹き荒れる逆風の強さを知ったからだ。調査を再開すれば県民の反発を招き、衆院選に悪影響を及ぼしかねない。この2年間、辺野古移設に向け、着々とコマを進めてきた首相にとって、これが初めての譲歩となった。
× × ×
20日、那覇市にある自民党前衆院議員の国場幸之助(こくば・こうのすけ)氏の事務所で選対・後援会幹部約20人は一様に険しい表情で弁当をつついた。ある幹部はこう漏らした。
「果たして選挙態勢を組めるのか。不安だ…」
平成24年の前回衆院選で国場氏の選対本部長を務めたのは、16日投開票の知事選で仲井真氏を破り、初当選を果たした翁長雄志(おなが・たけし)前那覇市長だった。翁長氏は知事選を前に自民党と袂(たもと)を分かち、「辺野古移設反対」を掲げて保革共闘で地滑り的な勝利を手にした。もはや支援は期待できない。
同じ頃、那覇市のホテルでは、知事選で翁長氏を支援した保革共闘勢力が衆院選への対応を協議していた。陣営幹部は自信たっぷりにこう語った。
「知事選での保革共闘の枠組みを大切にし、沖縄の全選挙区を連動させる」
果たして保革共闘で一本化された4候補者が23日、出馬会見を開いた。沖縄1区は共産党の赤嶺政賢氏、沖縄2区は社民党の照屋寛徳氏-というお馴染みの革新勢力を、翁長氏を支援した保守勢力が推す。沖縄以外ではあり得ない異様な共闘がこの衆院選でも繰り広げられることになった。
前回衆院選は、沖縄4選挙区中3選挙区で自民党候補が勝利し、選挙区で敗れた1人も比例復活した。4人はいずれも「普天間飛行場の県外移設」を公約に掲げたが、安倍政権となり、昨年11月までに辺野古移設容認に転じ、仲井真氏の埋め立て承認に向けた地ならし役を担った。
保革共闘勢力はこれを「公約違反だ」と指弾し、4選挙区すべてで自民党候補を追い込む構えを見せる。その上で1月の名護市長選、知事選と合わせて「辺野古移設反対という沖縄の民意が示された」と訴え、安倍政権に移設断念を迫る算段なのだ。
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「名護市長選と知事選で保革共闘の流れを勢いづかせてしまった…」
自民党幹部はこう悔やむ。名護市長選と知事選で公明党は自民党が推す候補を推薦せず、自主投票とした。これは公明党本部が、辺野古移設に反対する沖縄県本部とのねじれを放置したツケだと言える。
「自民党支持者には公明党への不満がくすぶっている」「感情的になってはいけない。衆院選で自公共闘を再構築すべきだ」-。
20日の自民党県連の議員総会では「公明党との距離をどう埋めるか」に議論が集中したが、抜本的な解決策は示せないままだ。
焦る自民党県連を横目に公明党県本部はむしろ距離を広げつつある。ある県本部幹部はこう打ち明けた。
「決まっているのは比例代表の公明党公認候補の当選を目指すことだけだ」
来月2日に公示が迫る中、自公共闘が成立するかさえ定かではない。首相が海上調査の再中断を命じた背景には、こうした公明党への配慮もにじむ。
だが、平成8年4月の普天間飛行場の返還合意から18年が経つ。日米の合意事項である移設計画がこれ以上停滞すると、民主党政権時のように日米同盟に深刻な亀裂が生じかねない。
それだけに首相は選挙結果にかかわらず移設を進める意向を固めている。
それにはまず翁長氏との折衝が待ち構える。翁長氏はかつて辺野古移設を推進しただけに対話路線で翻意を促す腹づもりだという。
とはいえ、翁長氏はすでに埋め立て承認の取り消し・撤回に向け、検証委員会を設置する考えを表明しており、そう簡単に移設容認に転じるはずもない。
公有水面埋立法に規定がなく「行政権限乱用にあたる」(政府高官)とされる取り消し・撤回に踏み込めば折衝は決裂する。そうなれば首相は断固たる法的措置と権限行使を視野に入れざるを得ない。沖縄振興予算の扱いも焦点となるだろう。民主党政権の迷走により、複雑にねじれた沖縄の政治事情に光明は見えない。むしろ政権を根底から揺るがしかねない地雷となってしまった。
(那覇支局長 半沢尚久)