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主要選挙控え 硬直化する台湾の政治
2014.4.27 07:00 産経
馬英九政権を取り巻く台湾の政治状況が硬直化しつつある。中国との相互市場開放促進のためのサービス貿易協定に反発する学生らの立法院(国会に相当)議場占拠で、馬政権に対する市民の不安が一気に表面化した。一方最大野党、民主進歩党はこれに乗じて今年11月29日投開票の統一地方選を有利に展開し、その先に控える2016年次期総統選での政権奪回に結びつけたいところだが、政権攻撃の手法次第では「将来自縄自縛に陥る」と危ぶむ声も出ており、混沌(こんとん)とした状況の行方が注目されている。
重なる陳政権末期
「今の台湾は陳水扁政権の2期目とそっくりだ」
与野党立法委員(国会議員)は異口同音の感想をもらした。
2000年から08年までの民進党・陳水扁政権時代も、2期目は陳氏側近や身内から不祥事が続出。一方で強く独立志向を前面に打ち出して米国、中国の懸念や反発を招き、党内の批判や市民の大規模抗議デモにさらされた。
「馬氏も同じように側近の汚職が相次ぎ、大陸(中国)と急接近する姿勢が目立っていた」(野党議員)
事実、12年の馬政権2期目の発足直後には、行政院秘書長(内閣官房長官)だった林益世氏(45)の収賄事件が表面化。13年には与党、中国国民党の主席室主任だった台北市議も収賄容疑で逮捕され、馬氏のクリーンイメージを損なった。
今回の議場占拠は、貿易協定の委員会審議の打ち切りがきっかけだが、馬政権は今年2月に中台所管官庁トップ(閣僚級)会談を江蘇省南京市などで行い、1949年の分断以来初の中台当局間直接交流を実現させたばかり。
「年内の中台首脳会談の可能性も取りざたされていた。台湾社会の約85%は“現状維持”を望んでおり、野党支持者だけでなく、中間層にも不安が広がっていた」(野党議員)
引き続き「原発問題」
結局、馬政権は中台間協定を監視する法の制定など学生らの要求を一部受け入れ、学生らは4月10日に議場から退去したが、一部居残った市民を警察が強制排除したことで11日夜には台北駅前の警察分署を市民や学生ら約1000人が包囲する騒ぎも発生した。
こうした中、民進党は16日、台湾北部で建設中の台湾電力第4原子力発電所問題に関し「年内終結」の方針を決定。21日には民進党の蘇(そ)貞(てい)昌(しょう)主席(66)が江(こう)宜(ぎ)樺(か)・行政院長(53)=首相=と会談し、建設中止や民進党の住民投票特別法案への支持を要請した。
第4原発は1998年に着工したが、工事過程のトラブルなどで工期は延期され、馬政権では2014~16年の商業運転開始を目指し、現在稼働中の第1~第3原発を順次停止させる漸減政策を掲げてきた。
これに対し、安全性を疑問視する野党は、東日本大震災での東京電力福島第1原発事故を機に一般市民にも反対運動が拡大する中で、即時建設中止などを求めてきた。
江院長は「行政院が一方的に第4原発建設中止を宣言することない」と語ったが、離党した民進党の林義雄元主席(72)が22日、台北市内で、第4原発の建設中止を求めるハンガーストライキを開始。
23日には馬英九総統(63)が駆けつけ、「内外専門家による安全検査完了後、公民(住民)投票によって将来(の存廃)を決定する」との林氏あてメッセージを託すなど、議場占拠に続く“火種”への配慮をのぞかせた。
与野党内部でも思惑交錯
「この状況では馬政権は、残り2年の任期中、両岸(中台)対話だけでなく内政面でも足踏みを強いられるだろう」と、与党議員の一人は推測する。
「統一地方選での牽引(けんいん)力にも期待できない」といい、「次の総統候補」をめぐるさまざまな思惑の中で、党運営も波乱含みだ。
一方、野党では、5月25日投開票の党主席(党首)選を前に、現職の蘇主席らが不出馬表明し、前主席の蔡英文(さいえいぶん)氏(57)で事実上一本化されたが、党内からは「蘇氏は蔡氏が2年間もたない可能性も考慮していったん退いた」との分析も浮上している。
学生らの議場占拠は、野党に対してもその力量に疑問符をつきつけたかっこうだった。
中国との対話姿勢構築をはじめ原発建設中止など、民進党が馬政権攻撃の材料とする問題は、そのまま民進党が今後直面してゆくべき宿題でもあり、「解くに易しい問題とはいえない」との見方が大勢だ。(台北支局 吉村剛史)
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