毎年恒例の龍馬プロジェクトの海外視察に行ってきました。
プロジェクトの公式な海外視察は
①ドバイ ②台湾 ③マレーシア&
シンガポール ④アメリカ
に続いて6カ国目となります。
そのほかにも政治家になってから
①中国 ②オーストラリア ③ベトナム ④スリランカ ⑤カンボジア
と視察や研修に行ったので、それらをあわせると11カ国目の訪問になります。
我々が定期的に海外に視察にいくのは、例え小さな自治体の議員であっても、世界から日本を見れる視点をもち、
それを忘れずに地域や国の未来を考えるためです。
これを提唱したのは私ですが、私自身も21歳の時、1年間日本を出ていなかったら政治家にはなっていなかったという想いがあります。
外から日本をみて、感謝もできましたし、また問題も分かりました。
そうした気付きや感動を仲間と共有し、政治をしていきたいと考えて海外視察を続けています。
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今回も教育や産業を中心に視察してきましたが、先に結論を3点挙げます。
どうしてういった結論に至ったかを知って頂くために以下に視察の内容をまとめていきます。
結論 ①インドのイメージが変わった
②インドは将来、日本の良きパートナーとなる
③教育の重要性を再確認
基礎情報
人 口:12億4000万人 (世界人口の17.7%、2021年には14億人)
平均年齢 25.1歳(2011年) 24歳以下が54%
面 積:約330万平方キロ(日本の約9倍)
宗 教:インドの人口に占める各宗教の割合: ヒンドゥー教徒80.5%、イスラム教徒13.4%、
キリスト教徒2.3%、シーク教徒1.9%、仏教徒0.8%、ジャイナ教徒0.4%
識字率:74%(男性82%。女性65%)
GDP :約200兆円(2012年 世界10位)→2040年には中国、アメリカについで世界3位に
*日本からインドへの直接投資
2008年4.1億ドル 2009年11.8億ドル 2010年15.6億ドル 2011年29.7億ドル
*貿易額
国 |
日本 |
中国 |
アメリカ |
韓国 |
輸出 |
56 |
203 |
310 |
55 |
輸入 |
54 |
534 |
210 |
121 |
輸出入合計 |
110 |
737 |
420 |
176 |
*IT産業の売り上げ(億ドル)
2012年 1000億ドル(国内250 輸出750) ← 2000年当時は121億ドル
ネール首相のIT戦略 1951年~インド工科大学 現在15項
*英語スピーカー 人口の約30%(推定) 1990年代は数%
インドと日本のつながり
① 1943年~ チャンドラ・ボースの独立運動に日本軍が協力
② 極東軍事裁判 パール判事「日本無罪論」
③ 1949年 ネール首相から小象インディラが上野動物園に寄贈
④ 1951年 サンフランシスコ講和会議で「外国軍の日本駐留継続」に反対、調印拒否
⑤ 1952年 インドは戦争賠償責任を放棄
⑥ 1950~1960年代 インドが供給してくれる鉄鉱石のおかげで日本の製鉄業が復興
⑦ 昭和天皇の崩御時には、半旗を掲げて3日間喪に服す(インドとブータンのみ)
⑧ 1991年 インドの経済危機で日本が援助 (そのときの大蔵大臣が今のシン首相)
⑨ 1998年 インドの核実験に対し、日本経済制裁(インド側の理解)2001年解除
⑩ 2006年 シン首相初訪日 相互訪問の毎年開催が決定(ロシアと日本のみ)
⑪ 2007年 安倍首相インドの国会で演説
⑫ 2013年 11月天皇陛下 訪印(1960年に続き2回目、その当時は皇太子)
⑬ 2014年 安倍総理訪印予定 1月26日の建国記念日に主賓で出席
インドの政治機構
① 独立 1947年8月15日(インド共和国独立記念日)
② インド憲法 1950年1月26日施行(共和国記念日) 改正は200回以上
議会制民主主義、地方分権と連邦制、普通選挙制度(18歳から投票)
*裁判所を議会より上と位置づけている
③3つの主義
世俗主義:政策や政府機関が特定の宗教の影響から独立していなければならない
社会主義:1991年から経済の自由化
非同盟主義:全方位外交
④ 大統領は、連邦議会(上院248、下院545)、各州議会(4120)の投票で決める
⑤ 大統領は軍の統帥権を持ち、大統領直轄令を出せる。
⑥ 中央政府の権限は【国防、通信、外交、通貨】に関することだけ。州議会の権限が絶大
⑦ 国家元首は大統領、実質的権力者は首相
⑧ 各州には知事と首相。知事は大統領が派遣する。
視察1 マンガロール
大都市だけでなく、地方都市もみることでインドの今を知ればと思い、
視察しました。
特徴
・カルナータカ州(州都はバンガロール、人口6100万)にあるアラビア海に面した人口50万人の都市。
・かつてのポルトガル支配の色合いが残り、人口の30%はカトリック。
・産業は、医療、教育、銀行業、中東との貿易、水産業、農業が盛ん。
・留学生が多く国際色豊かで、英語の識字率などは非常に高い。
(1)経済特区(SEZ)
インドの経済障壁を考慮し、
インドで物を生産しインド以外に輸出する産業誘致のために開発が進められていました。
インドの関税は非常に高くて、自動車も輸入すると100%以上の関税だと聞き驚きました。
(2)病院・看護学校
マンガロールは、
近くにインド最大の高等医療教育の機関があり、インドでもかなり医療水準が高く、
医療ツーリズムに力を入れていく方針であることが 分かりました。50万の人口で総合病院が6つもあるそうです。
また、インド人もライフスタイルや食生活がかわり、三大疾病は日本と同じ感じになっていることをききました。
(3)
カナラ地区商工会議所の皆さんと意見交換
マンガロールは昔から金融も強く、
インドのメガバンクの5つがマンガロール発祥だとのこと。
皆さん、欧米やアラブとワールドワイドにビジネスをされていて、話のスケールが大きい大きい。
日本との経済交流をもっともっとやりたいんだという思いを大変強く受けると共に、
地方都市でもこれだけの経済力をもった方がたくさんいることが分かり、初日でメンバーのインドに対する意識が変わりました。
視察2 バンガロール
教育とIT産業、日本企業のインド進出の様子などを知るために視察しました。
特徴
・カルナータカ州都。人口約960万人。
・デカン高原の南端、海抜920m、年中温暖。(世界生活環境調査ではインドで一番住みやすい町)
・1909年のインド科学大学院大学(IIS)の設立をきっかけに科学技術都市に。118校の工科大学が年間4万人以上の技術者を輩出。
・国防産業、自動車、工作機械、建設機械、IT、バイオ、医療が主な産業。
・2200社のIT企業が存在。うち500社が外国企業。
・トヨタ自動車などを軸に約230社の日本企業が進出。(中国の何十分の一)
(1)
日印ソフトウェア
日印ソフトウェアという日本からオフショアで仕事をうける企業を視察。
経営者の二人は日本での就業経験もお持ちで日本語ペラペラでした。
インド企業との連携のメリットについて。
・インド人はかなり親日で英語がしゃべれる。
・グローバルに仕事をしており、各国にパイプがあり、それを使える。
・また人口12億人のインドの市場を狙いにいける。
IT技術をもったインド人の方の初任の平均月収は4~6万円だそうです。
この企業では一年間の社員研修があり、毎日5時間日本語の勉強をさせ、仕事につかせるそうです。
インド人の語学力がすごいのか日本が駄目なのか。
(2)トヨタ自動車
インドでは、
昨年357万台の自動車が売れ、トヨタのシェアは五位だそうです。
工場で働く方々の給料は、1~1.5万円。ITと比べるとかなりの差があります。
インドで車を購入できる層は約2000万人。やはり年収が200万ほどないとローンでも厳しいそうです。
自動車業界にとっての問題は、交通インフラが悪く、渋滞続きで、それが解決されること。
(3)
トヨタの技術者訓練学校
この学校は州内の経済的に恵まれない高校生を対象に、
年間64人だけ全寮制で勉強ができる施設。
学費は無料で、学生には月々3000円程度のお金が支給され、生活費はそこから支払う。
入試の倍率は10~15倍で、卒業後の就職選択は自由ですが、四年間卒業生を出し、ほぼ100%トヨタに就職するようです。
このような学校を海外で作るのはトヨタでも初のことらしいですが、卒業生の評判は非常によいそうです。
教育スタッフの方曰く、インド人は真面目で向学心も高い、また貪欲さもあり、言われたことをするだけでなく、改善提案なども積極的、
とのことでした。
(4)カルナータカ州商工会議所の皆さんと意見交換
バンガロールを取り仕切る商工会議所の皆さんとの意見交換。
メンバーには今年日本を訪れてくださった方々もおられ、すっかり日本びいきでした。
懇親会も開催頂き、大変お世話になりました。今後の交流も生まれそうです。
(5)
DSIカレッジ
民間の財団が運営する学校を視察。幼稚園から大学までの一貫教育。
(大学)
大学の学費はインド人で約30万円。成績優秀者は写真付きで掲示し競争と宣伝。
留学生は約50万円で、生活費も月2万あれば大丈夫。年100万円あればこの大学に留学できます。
(幼稚園、小中高等学校)
子供たちに日本についてどんな風に学んでますか、と聞きました。
・日本はインド独立の父チャンドラボースを応援してくれた恩のある国。
・日本人のイメージは、技術力が高く、愛国心の強い国民という認識。
この学校では、小学校から授業でヒンドゥー語、地域言語、英語の三つの言語を習います。
キャンパスの雰囲気は和やかでしたが、学生が休み時間も学ぶ姿が目につきました。
学校には航空工学部もあり、校内に戦闘機の模型などがあったのも印象的でした。
(経営陣との懇談)
学校内に学生の起業をサポートするセクションもあり日本との違いを感じました。
学校からは、日本語センターをつくりたい、日本の大学との連携がしたいといった要望があり、
日本との連携を強く求める姿勢を感じました。
(小学校の先生との懇談)
インドではお父さんお母さんは神様と教えられていますが、それについで先生も神様と教えるそうです。
ですから先生への信頼はしっかりしているようです。
幼稚園ではモンテストリー教育などを取り入れ、子供の選択を尊重するが、小学校からは指導方に変えていく。
先生は子供の夢にそった教育を目指すが、日本と同じく就職を考えた勉強になりがち。技術系の仕事が人気である。
インドの大きな教育目標は、国の経済発展に人力できる人材を育てること。
愛国心は、国の歴史を教えることで芽生えさせる。
道徳心は、宗教や偉人伝を教えることで育む。先生も子供のお手本になれるように人格の向上につとめている。
先生方からの質問では、日本の技術力の秘密と日本の戦後復興の秘訣を教えて欲しいといった質問がありました。
そうしたことに関心が高いのですね。
(6)
DSIホスピタル
大学内の病院ではインドの医療水準の高さを説明して頂きました。
もちろん日本の方がレベルは高いと思うのですが、それなりの技術水準で治療費などはかなり安いです。
こうした話を聞くと、日本人が国内だけで考えている医療ツーリズムの計画の穴が見えました。
*インドの医療ビジネス (ウェキペディアより抜粋)
インドの医療レベルは飛躍的に進歩し、欧米で研修をした医師が帰国している。英語が第二公用語であるために、
医療関係でも英語圏との結び付きが強い。インドでは海外からの医療ツアーのPRが行われており、「アポロホスピタルグループ」
はインド内外で38の病院を経営し、4000人の医師を抱えるインド最大の病院チェーンで、特に心臓手術では施術例55000人・
成功率99.6%という実績があり、心臓手術では世界五指に入るという。先進国より破格に治療費が安い事が魅力であり、
医療費が高いアメリカとインドの手術費用を比較するとアメリカではおよそ350万円かかる心臓手術がインドでは80万円程度という4分の1以下の安さである。
計画委員会のレポートによると、インドには約60万人の医師と100万人の看護師、200万人の歯科医がおり、
そのうち5%が先進国での医療経験を持つ。現在、6万人のインド人医師がアメリカやイギリス、カナダ、
オーストラリアの医療機関で働いているという。世界的に見て医師と弁護士の水準が高く各国で活躍するインド人医師の数は6万人に上り、
イギリスでは外科医の40%がインド人医師で占められ、アメリカに於いても10%を超える外科医がインド人医師である。
(7)インド経営大学院大学(IIM インディアン インスティチュート
オブマネージメント)
インドのIITは世界的にも有名で、ここにいけなかったインド人がアメリカのMIT、
マサチューセッツ工科大学に行ったという話があるほどです。
インドには13のIIMがありますが、バンガロールのものは1973年に設立されました。
13のIIMの募集定員は毎年約2000人。そこにインド中の成績優秀な大学約20万人が応募し、
99点をマークした人だけが入学できるそうです。
倍率100倍の入試をくぐり抜けたエリートが、二年かけて公共マネージメントや企業マネージメントを勉強します。
日本でいう国立大学院ですが、国の支援は一切なく、独立採算で経営されていて、企業との合同研究や企業コンサル、
企業の社員教育などで収益をあげ、そこに学生も関わることで、即戦力として役立つための教育ができているとのこと。
先生も全て元経営者か、企業とプロジェクトをすすめている方だけで、経験に基づいた指導を徹底しているそうです。
ちなみに学費は2年で300万。インドではかなり高額ですが、入学すれば就職率は100%。
半分人生が保証されるようなので、100倍の倍率になるんです。
徹底して選抜し、民間企業と組んで世界基準の学問を学ばせる。日本にできてないところを見せつけられました。
インドのエリート教育を垣間見た気がします。
(7)インフォシス本社
今から30年ほど前にインドのプネで、
7人のインド人で、250ドルの出資から始めた会社で金融ソフトウェアやファイナンシャルインシュアランスがメイン業務。
63%アメリカ、28%ヨーロッパ、9%アジアでシェアを持ち、年間79億ドル の売り上げ。
世界各地に支店を持ち、本社には80エーカーの広大な土地に平均年齢27歳の社員が26000人が働く大企業。世界には16万人の社員。
会社が広すぎるので、敷地内は電気カートや自転車で移動。
図書館、カフェ、ショップ、クリーニング店、ジム、レクレーション施設など町のようにフル完備。
ビルゲイツやブレア元首相もこられていて、2000年には、森元首相もこられていました。
(8)公立小中学校
公立学校では、
みんなが英語を使えるレベルではありませんでした。
しかし、子供に一番人気の教科は英語で、子供たちも将来のためを考えているようです。
人気の職業は、医師、エンジニア、警察。人気のスポーツはクリケット。
私立学校と環境や学力の差はありましたが、規律正しさや家族への思い、目の輝きは一緒。
全校生徒でインドの国歌を斉唱してくれたのが印象的でした。
(9)JETRO訪問
バンガロールを中心にしたインドの経済と日本企業に進出についてヒアリング
(10)ゴウラ州政府農林大臣と懇談
インドも日本と同じく若者の政治関心が薄いらしく、その課題をどう解決するかといったお話になりました。
(10)GITAM大学
大学生の日本に対するイメージは、
日本人は誠実でよく働く、日本の技術力は素晴らしい、というものでした。
どうしたら日本人のような技術力がみにつくのか?日本で働くにはどうしたらいいのか?といった質問もたくさんもらいました。
視察3 ニューデリー
特徴
・中央政府が直接管轄するデリー準州。人口約1700万人。
・日本の沖縄と鹿児島の中間くらいの位置。
・1911年、イギリスの占領下で首都がコルカタから写されニューデリーが完成。
・デリー首都地域の在日邦人2500人
(1)日本大使館
大使が帰国中でいらっしゃったため、
川村次席公使が、
インドの内政、経済、外交安全保障、日印関係についてレクチャーしてくださいました。
お休みにも関わらず、非常にご丁寧な対応を頂き、感謝感謝です。
これまでの視察の総括になるようなお話で、よい資料をたくさん頂きました。
大使館公邸の庭には、35年前に今上天皇が皇太子の時に植樹された菩提樹があります。
今月、史上初めて日本の天皇が来印され、こちらにもお越しになられます。その場所で記念撮影をさせて頂け光栄でした。
(2)インド
インターナショナルトレードフェア
経済産業省の方にご案内いただきました。
会場は混み合っていて、日本製品やカルチャーに対する関心の高さがうかがえました。
会場にきていらしゃった日本人のお話を訊くと日本の中小企業も十分に戦えるチャンスを感じました。
意外だったのは日本の「KUMON」がインドでうけていること。インド人は数学ができるというイメージでしたが、
実際はそうでもないようです。
(3)観光
6日目は、アグラの町に行って、城やタージマハルを見ました。
かつての帝国の繁栄と今のまちの喧騒を両方感じることができました。
最終日はデリー周辺をまわりました。オールドデリーとニューデリーの違いや最新のショッピングモールにいく富裕層の姿など、
人々の生活を見ることができました。
(4)日本人との意見交換
デリーでは3泊しましたので連日在印の日本人の方々と会食をし、町を案内いただいたり、インドの政治状況などを教えて頂きました。
それぞれ個人の見解なので、ホームページにはかけませんが、こうした日本人同士の意見交換はいつも勉強になります。
もう一度結論をまとめますと
①インドのイメージが変わった
・ただの新興国ではない。江戸と平成の混在する国
②インドは将来、日本の良きパートナーとなる
・私の知る中では台湾に次ぐ親日国
・これからの発展の可能性が大きく、日本人の目がまだ向いていない
③教育の重要性を再確認
・格差は教育によって生まれる
・中間層の育成がインドの課題と捉えたが、そこにも教育が鍵となる
インドは地方政府(州)が強く、国と国との付き合いというよりも、日本の自治体や企業が、
それぞれのニーズのマッチする州や都市と交流や取引を深めることで相対として、国家間の繋がりを深めていくと良いと感じました。
インド側の日本に対する意識はそれなりに高いと感じました。しかし、私も今回実際に行ってみるまで、
インドがどれほど発展しているか知りませんでしたし、自分の意識の外にあった気がします。今後民間交流といった形でも、
お互いの国民が交流しあえば、双方にとってメリットのあるお付き合いができると感じます。
今回の視察で感じたことは、もっと日本とインドの交流を盛んにすべきだということです。それにはまず相手を知り、
日本を伝えねばなりません。
そのために多くの日本人や中小企業の経営者にインドにいってもらえたらうれしいと思いますが、
政府機関にお願いするのは難しいと思いますし、ただの旅行でも今回の我々のような学びは得れないと思いますので、
今回の視察でお世話になった会社を3社ご紹介しておきます。
バンガロール GEOCOMコンサルティング(河込氏)
デリー セレブインディア(宮本氏)
中島コンサルタンシーサービス
(中島氏)
インドの企業や学校現場の様子など、関心のある方は是非コンタクトをとって、インドに行ってみてください。