華やかな開発計画の裏では、急激に増加するであろう交通量の問題など、地元の課題がたくさんあります。
五輪もそうですが、プラス面もあればマイナス面もある。
他人事で考えると華やかな方がいいですが、そこに住む人や、開発の煽りを受ける人もいることも考えながら、是非こうしたニュースを読んでもらいたいと思います。
万博記念公園「日本一の次世代観覧車」は関西のランドマークになるか…高さ130メートル、東京五輪の外国人観光客狙い
2013.9.16 18:00
万博記念公園(大阪府吹田市)の遊園地「エキスポランド」跡地に、三井不動産が高さ約130メートルと日本一の大型観覧車を建設する計画を進めている。平成27年の開業に向け、ショッピングセンターや飲食店、シネコン(複合型映画館)など約300店の娯楽・商業施設もオープンし、年間約2000万人の来客を見込む。ただ、同社は、高さ「世界一」の当初計画を断念した。2020年の東京五輪開催時に外国人観光客を呼び込める集客の目玉となり得るのだろうか…。
「世界一」から「日本一」に規模縮小!?
観覧車の高さは、旧エキスポランドの観覧車「テクノスター」(85メートル)の1.5倍の約130メートルを予定している。
葛西臨海公園(東京都江戸川区)の「ダイヤと花の大観覧車」(高さ117メートル)、天保山ハーバービレッジ(大阪市港区)の「天保山大観覧車」(同112.5メートル)を抜く計画で、「日本一の観覧車で関西の活性化を目指す」という意欲的なプランだ。
ところが、昨年までの当初計画では「世界一」を目指していた。
その高さはなんと170メートル。現在、世界最大の「シンガポール・フライヤー」(シンガポール、165メートル)を上回る華々しさだっが、「計画を再考した結果、130メートルに縮小した」(三井不動産)という。
同社は、詳しい理由を明かさなかったが、高さ世界一の観覧車の建設費は100億円を上回るとみられ、投資回収を見込めなかったのではないかとみられる。
実際、ダイヤと花の大観覧車で約20億円、天保山大観覧車で約25億円の建設費が掛かっている。
2020年夏季五輪の開催地が東京に決まり、今後は工賃や鋼材価格の急騰も懸念される。
計画のさらなる見直しを迫られる可能性もありそうだ。
世界では観覧車ブーム?
「今時、観覧車で人が呼べるのか」。そんな冷めた声もささやかれるが、世界では、観覧車の建設ラッシュが続く。
高層ビルなどと同じく、巨大観覧車は、その国の経済力や技術力を映す“鏡”でもあるからだ。
昨秋、米ニューヨークで高さ190メートルの観覧車計画が発表され、今年に入ってから、アラブ首長国連邦のドバイで210メートルの観覧車が着工した。米ラスベガスでは、高さ244メートルという途方もない構想も飛び出しており、観覧車の「世界一」をめぐって各国の競争はヒートアップしている。
「(テーマパークや遊園地の)絶叫マシンとは違って、子供からお年寄りまで幅広く楽しめる」
国内外で観覧車の建設・運営を専門に手がける泉陽興業(大阪市浪速区)は観覧車の魅力をこうアピールする。
国内でも需要は底堅く、14日には、同社が山口県下関市で建設した高さ約60メートルの観覧車がオープンした。
ただ、開業当初は「物珍しさ」で集客できるが、人気を長続きさせるのは難しい。
2008年に開業した「シンガポール・フライヤー」の運営会社は、今年5月に経営破綻している。
集客のカギは?
観覧車の最大の売りは高さを生かした眺望だが、最近では、デザイン性やエンターテインメント性も問われるようになってきた。
ドバイの計画では、車輪部分を平面化し、LED(発光ダイオード)による大型スクリーンにして映像や広告を流す計画。ロシアでは、車輪のない観覧車も計画されており、見て楽しめる工夫も盛んになってきた。
三井不動産の計画はまだ具体的に示されていないが、当初の提案書では「次世代の施策を施した大型観覧車」とうたっており、デザイン性やエンターテインメント性に力を入れるとみられる。
また、併設のショッピングセンターや飲食店、シネコンとの相乗効果も大切だ。
東京五輪の開催時、日本一の観覧車は「大阪観光の目玉」として外国人観光客を呼び込めるのか、同社の手腕が試されそうだ。