対馬だけに限らず海ごみの問題は深刻です。
龍馬プロジェクトのメンバーにも、この問題に取り組む方がいて、何度かレクチャーを受けました。
外からくるゴミだけでなく、日本もゴミを出しています。
また、震災の瓦礫もだいぶ海外に流れ着きました。
その地域だけとか、1国だけの問題としては解決は無理だと考えています。
国際的なルール、罰則作りが必要ではないでしょうか。
海洋国家日本のイニシアティブで改善に向けてのアクションが起こせればいいと考えています。
私も福井の海岸育ち。
人事とは思えませんし、地方自治体で解決できる問題でもないと思うのです。
【海防】第1部 国境の島 対馬㊥
押し寄せる漂着ごみ 「何回やっても同じこと」続く堂々巡り
2013.4.2 23:46[対馬が危ない]産経
かつて対馬の海付=うみつき=(海沿い)に春の訪れを告げる風景があった。肥料にするため、漂着した寄藻(よりも)を拾う姿があちこちで見られた。打ち上がる海藻は離島暮らしを支える貴重な資源でもあった。
いまその春の風物詩は見られない。寄藻を保管していた藻小屋が残る木坂海岸は朝鮮半島と相対している。海岸には無造作にドラム缶やテレビが転がる。ミネラルウオーターのラベルにはハングル。「~夫山泉」と中国語が書かれたペットボトル。対馬は海流に乗った漂流物が朝鮮半島や中国から大量に打ち上げられている。大気中の微小粒子状物質「PM2・5」だけでなく、海も大陸から侵略に脅かされている。
第7管区海上保安本部(北九州)の対馬海上保安本部では、巡視船が昨夏、沖合で異様な光景を発見する。海一面に10メートル四方の養殖いかだが漂っていた。次々と流れてくる。波に隠れるかのような、いかだは船からは見えにくい。船舶の航行に危険な「航路障害物」と判断し、いかだを曳航し、対馬市に引き渡した。「漂着物に船が接触すれば事故の恐れもある。他の海域にはない悩みの種になっている」。対馬海上保安部の廣川隆部長は説明する。
日本に押し寄せる漂着ごみは年間約15万トンとも言われているが、「体系的な統計はない」(環境省海洋環境室)。漂着ごみは海流に乗り世界を巡るが、国際的な処理の枠組みも存在しない。仮にどの国の誰かが特定されたとしても所有権を放棄されれば「処理費の請求もできず、個別交渉になる」(同)とされる。
その結果、処理費を浮かそうとする海での不法投棄も後を絶たない。海保によると、平成24年に日本の周辺海域で確認された海洋汚染は400件。なかでも、対馬などの日本海沿岸は深刻だ。廃棄物による海洋汚染は、本州南側は4件なのに対し、日本海側は九州と合わせると計35件と突出。漂着ごみに、不法投棄…。廣川部長は「日本海側は厳しいのは確か。大陸との間に浮かぶ対馬の宿命なのでしょうか」と話す。
対策として、平成21年には海岸漂着物処理推進法が施行され、漂着ごみの処理が管理者に義務づけられた。自治体などには重い負担となるが、国は基金などを通して財政支援する。対馬市も約8億円の支援を受け、海岸の一斉清掃を実施、22年度1万4911袋、23年度9098袋ものごみを回収した。人口3万5000人の島にとって、考えられない大量のごみの山だ。「日本列島の漂着ごみの防波堤になっているんですよ」。対馬市で漂着ごみ問題を担当する一宮努係長(45)はふるさとの島をこう表現した。「中国や朝鮮半島からのごみ処理に税金が使われるのは納得できない」という意見もある。
随時清掃を行っているが、漂着ごみが絶えることはない。「何回やっても同じこと。島からごみがなくなることはなか」と漁師の槙野忠実さん(49)。漁船がドラム缶とみられる漂流物に乗り上げ、転覆しそうになったこともある。「だれに文句いえば、よかとか」。魚を選別しながら吐き捨てるように言った。(森本充)
■航路障害物 船舶の航行の妨げになるような木材や工作物など。海上保安庁では、事故防止のために、回収して自治体に引き渡すなどの除去も重要な任務の一つに掲げ、発見者への通報を促している。対馬海上保安部では23年4月に全長4メートルの浮標を揚収。その後、韓国から流れついたと判明し、韓国巡視船に洋上で引き渡した。東日本大震災の際、海保は津波で沖に流出した計1万2372・9立方メートルの漂着物を回収、運搬した。