結婚して子育ても一段落した女性の皆さんには、是非再び働いていただきたい。
こうした支援は官民問わずどんどんと進めていくべきです。
結婚や子育てが女性のキャリアとしてプラスに働く日本にしなければなりません。
結婚、出産…「学び直し」で再就職&起業 大学が支援プロジェクト
産経新聞 3月9日(土)10時0分配信
ハッピーキャリアプログラムを受講し、専業主婦から部長に転身した岸田真由子さん(左)。「仕事が楽しくて仕方ありません」 =大阪市浪速区(写真:産経新聞)
結婚や出産を機に仕事を辞めた女性の再就職や起業を大学が支援するプロジェクトが、高い就職率を挙げている。就職に直結する資格が取得できるわけでも、熱心な就職先の斡旋があるわけでもないが、「学び直す」という行為を通じ、参加者自身が子育てや家事に追われる中で見失っていた自信を取り戻し、成功を引き寄せているようだ。(佐々木詩)
■出張もこなす
「仕事ができることがうれしくて仕方ないんです」。充電器などの輸入、販売「ワンゲイン」(大阪市浪速区)で働く岸田真由子さん(40)は笑顔で話す。岸田さんは10歳の息子の母親。6年間、専業主婦として子育てと家事に追われていたが、関西学院大学(兵庫県西宮市)の女性のための再就職支援事業「ハッピーキャリアプログラム」に参加したことがきっかけで就職した。
現在は午前9時半から午後3時半までの短時間勤務という形で、営業担当として働く毎日。ときには出張もこなす。
同プログラムは、女性の再就職と起業、育児休暇からのスムーズな復職を支援する半年間のスケジュール。「現代マーケティング戦略」や「会計・財務諸表」などのビジネススキルを学ぶ講義や「アクションプランニング」といった自分の思考パターンなどを探り、適性を見つける時間も設定されている。
原則として大卒者が対象。年齢は不問だが、書類選考と面接などを受ける。選考をクリアしたら、必修講義と自分の目的に合わせた講義とを選択して受講。受講費用は9万円から。
平成20年度から3年間、文部科学省の委託事業として実施された。修了生からは「後進のために続けてほしい」という声が多く寄せられ、事業終了後も独自に継続することを決めた。これまでに20~50代の76人が修了、このうち約7割が子育て中の母親だ。
◆1年後には部長
岸田さんは40歳を目前にし、もう一度働きたいと考えたが、何から始めればいいか分からなかった。そんなとき、友人に同プログラムの修了生がいたことなどがきっかけで、「まずはもう一度勉強してみるのもいいかもしれない」と参加した。
修了後、得意の英会話などを武器に就職。主婦経験を生かし、女性も持ち運びができるようキャスター付きの家庭用蓄電池の開発にも携わった。入社から1年たたないうちに「営業統括部長」に昇進。「去年の今頃は、まさか自分がこんなふうに働いているとは思いもしませんでした」
同プログラムを担当する大内章子・関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科准教授は「このプロジェクトは職業訓練や資格取得という支援とは違う。グループワークや課題をこなすことで考える力を養い、実務につなげることを目指しています」と話す。就職した修了生の割合は90・9%。
「受講前は『自分は何をしたら輝けるのか』と、人生に迷った状態でやってくる。でも、知識を身に付け、自分の良さに気づいて強くなっていきます」。求人のない企業に自ら売り込み就職を決めるケースもあるという。
大内准教授は「『人生が変わった』と笑顔で言ってもらうのがうれしい。今後も続けていきたい」と話している。
■出産後の継続就業38%
出産前後の女性が育児休暇などを取得し、継続して就業する割合は依然、低い状況だ。
国立社会保障・人口問題研究所の調査(平成22年)によると、第1子出産前に就業していた妻の割合は昭和60年~平成元年の61.4%から17~21年には70.7%と、9.3ポイント上昇した。しかし、妊娠前に就業していた妻の割合を100とした場合、出産後も継続就業する妻の割合は39%から38%に減少している。