小さい島一つ、もめるくらいならあげたらいいのに、
なんていう問題ではないんです。
テレビでもしっかり国民に伝えて欲しい!
【国防最前線 日本が危ない】
尖閣防衛は国民生活に直結している!
2012.10.14 Zak Zak
尖閣周辺の日本領海に侵入した中国の海洋監視船(中央)を、海上保安庁の巡視船2隻が挟み撃ちにした=9月24日
なぜ尖閣諸島を守らなくてはならないのか?
国民の多くが、その問いに明確な答えが出せないのではないか。誰もが、世界に胸を張って主張することができるだろうか。
何だかんだ言っても、領土に対し一歩たりとも譲らないかたくなさ、その強固な意志こそが本来抑止力として欠かせない。しかし、どうも少なからぬ今の日本人には、さほど強い思い入れがないようだ。自分の生活や社会保障以上に守るべきものとは捉えていないように見える。
しかし、尖閣防衛は私たちの暮らしにも直結しているのである。この問題は「自分の持ち物を取られたくない」といった次元の話ではない。
通常、「海はみんなのもの」という共通認識のもとで各国が節度を以て行動している。だが、中国は国際法上はいずれの国の排他的経済水域(EEZ)であっても航行の自由が認められているにも関わらず、他国の軍艦の通行を認めないという姿勢をとっている。
つまり、もし新たに島々を自国のものにすれば、中国はそこを拠点として自国のEEZを思いのままに拡大し、国際法を無視して独自の法の下で、外国船の締め出しや恫喝などをする可能性があるのだ。
こうして周辺国の海上交通を手中に収めたら、次なる目標は「米国と対等な軍事大国となること」だ。
核ミサイルを搭載した潜水艦を南シナ海に潜航させようとすることは想像に難くない。いわば「南シナ海乗っ取り計画」のようなものだ。東南アジア諸国は事実上、中国の意向に従わざるを得ないことになる。これは、かつてフィンランドがソ連の意のままになったことから「フィンランド化」とも言われる。
そして、日本の海洋交通路(シーレーン)も、ここに含まれているのである。
中国の野望は、統一を目指す台湾があることや、資源の獲得に向けた動きから見ても、東シナ海にも及ぶことは間違いない。そこで、この南シナ海と東シナ海の間に位置し、どうしても拠点として手に入れたい場所はどこかというと、それが尖閣諸島なのだ。
つまり、尖閣問題は日本の領土保全だけではなく、周辺諸国の平和と安定のためにも極めて重要なのだ。ご機嫌伺い的な態度で、自国だけがうまくやろうという了見では通らない。
そして、99・6%の資源を海運に頼るわが国にとっても、シーレーンの不安定化は経済を直撃することは明らかだ。結局、この問題は私たちの暮らしの安全・安心と直結しているのである。
■桜林美佐(さくらばやし・みさ) 1970年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を制作後、ジャーナリストに。防衛・安全保障問題を取材・執筆。著書に「誰も語らなかった防衛産業」(並木書房)、「日本に自衛隊がいてよかった」(産経新聞出版)など。
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