綱領のない党の分裂が始まった。
私も五嶋氏と同意見です。
しかし、このまま解散し自民党に政権が戻ってそれで大丈夫か??
第3極は今だ出来上がっておらず、早急なチーム編成では、
劣化版の新しい民主党ができるだけだ。
国民が選択しやすいように、
それぞれの旗色や政策を示す政党の再編成が急務である。
自分たちの当選だけを考えた編成は勘弁してもらいたい。
政治家とメディアの力量が試され、
国民の良識が問われる時がくる。
歴史的役割は終わった 政治部長・五嶋清
2012.6.27 03:08 産経ニュース
民主党という政党の歴史的役割は終わった。これが衆院本会議での消費税増税関連法案採決の様子を見た率直な感想である。
この採決によって民主党は分裂状態に陥ったと言われる。まさにその通りだが、より的確な言い方をするなら、民主党はとっくの昔に事実上分裂していた。
民主党の成り立ちを振り返ってみよう。平成8年9月、旧民主党は鳩山由紀夫元首相や菅直人前首相らが中心となって結党された。集まったのは、社民党出身議員のほか、自民党や日本新党出身で新党さきがけ経由で民主党に参画した議員らなどさまざまだった。10年4月に旧民社党、新進党出身者らが合流し、現民主党が発足。15年に小沢一郎氏が率いる自由党が民主党に合併され、現在の民主党の枠組みができあがった。
旧所属政党は自民党や社民党だったわけで、個々の議員が目指す方向はバラバラだった。だが、政党としての外形的な統一を保てたのは、長く続いた自民党中心の政権を打ち破って政権与党の座につきたいという思いからだったに違いない。政権奪取を企てるのは、政党として当然の行為である。自らが理想とする政治の姿や政策を追求するには、与党になり自前の内閣を発足させなければならない。当時の野党が個別に戦っていたのでは自民党に太刀打ちできず、諸勢力を糾合しなければならないと考えた事情も、百歩譲って理解できなくはない。自民党から政権を奪うことこそ、民主党の最大の存在理由だったのだ。
だが、21年9月に最大目標である政権奪取を達成した民主党は、自らの理想を実現する前に次の目標を見失った。党所属議員が民主党参画前の自らの持論を主張し始めたからだ。そもそも目指す方向が違っていたのだから当然である。米軍普天間飛行場移設でもそうだし、社会保障や消費税増税でもそうだ。群馬県の八ツ場(やんば)ダム建設工事でも閣僚によって方針が異なり、中止したり再開したりと一貫性がまったくない。民主党には政党としてのまとまりというものがほとんど感じられない。
もちろん自民党政権が永遠に続けばよかったと言っているわけではない。与党時代の自民党が国民の信頼に全面的に応えていたとも思わない。だが、政権交代後の民主党はひどすぎた。とりわけ消費税増税をめぐる混乱は正視に堪えなかった。党内意見の集約における執行部と造反者の争いは同じ政党にいる者の行動とは思えなかった。もはやひとつの政党とは言えない。政権交代は必要だったかもしれないが、その役割を終えた民主党は解党すべきではないか。
一方、「政治生命を懸ける」と述べていた野田佳彦首相が消費税増税法案の衆院通過まで漕(こ)ぎ着けた点は評価したい。なにしろ、これまでの民主党政権は「有言不実行」の極みだった。鳩山元首相が普天間問題で「最低でも県外」と公言し撤回したことに象徴されるように、大言壮語の揚げ句に結果が伴わない政治が続いた。そうした流れを断ち切って、野田首相が消費税増税を成し遂げようとした一貫した姿勢は是としなければならない。
今回の採決での民主党議員の投票行動が分裂したのは、皮肉な言い方だが、良い機会である。この際、野田首相には法律の成立後、すみやかに衆院を解散し、民主党解党を覚悟の上で、政界再編まで一気に突っ走ってほしい。(ごじま きよし)