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神谷宗幣 (かみやソウヘイ)
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ベトナム視察 (平成23年12月1~4日)

視察・研修報告 |

今回の視察は、同世代の若手企業家の皆さんの視察に急な誘いを受けて、それに乗っかった形での参加となりました。

しかし、最終日などは自分でも視察先を見つけて、いろいろ学んできました。

今回の視察のテーマは

①ベトナムで頑張る日本人(企業進出が盛んですので)

②教育について

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ベトナムの基本情報

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ベトナムの国土は南北1,650km、東西600kmに広がる。インドシナ半島の太平洋岸に平行して南北に伸びるチュオンソン山脈(アンナン山脈)の東側に国土の大半が属するため、東西の幅は最も狭い部分ではわずか50kmしかない。面積は33万平方kmで日本の0.87倍。

人口は約8600万人で、IMFの統計によると、2010年のベトナムのGDPは1019億ドルであり、長野県とほぼ同じ経済規模。

1858年にフランスの植民地となり、1941年に日本が進駐、1945年にはホーチミンによる独立宣言。戦後、フランスが再び進駐してくると、仏軍とベトナム民主共和国軍の間で戦争(第一次インドシナ戦争)が始まったが、仏越両軍に日本軍兵士が多数参加した。当時、ベトナムには766人の日本兵が留まっており、1954年のジュネーヴ協定成立までに47人が戦病死した。中には、陸軍士官学校を創設して、約200人のベトミン士官を養成した者もおり、 1986年には8人の元日本兵がベトナム政府から表彰を受けた。

その後1965年から1975年までベトナム戦争。その後もカンボジアや中国と紛争を続け、1993年にフランスと、1995年にアメリカと和解をしている。

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企業訪問

近年、日本企業のベトナム進出が相次いでいるが、その要因として中国の半分から3分の1ともいわれる賃金、AFTA (ASEAN自由貿易地域)の推進に伴ってASEAN域内への輸出拡大が見込める点、さらには中国一極集中のリスクの回避などが挙げられています。

そんな情勢の中、今回は、日本人がオフショア開発を進める2社の日本企業を視察してきました。

*用語説明  オフショア開発

システムインテグレータが、システム開発・運用管理などを海外の事業者や海外子会社に委託すること。オフショア開発の主な受注先としてはインドや中国の企業が挙げられるが、近年ではロシア、カナダ等にもオフショア開発を請け負う企業が設立されている。また、日本や欧米の企業が現地に進出して本国の案件を受託する場合もある。

オフショア開発の最大のメリットは安価な労働力を大量に得られることである。日本での高い人件費を嫌ってオフショア開発を推進する企業が増えているが、現地採用のスタッフに十分な技術が身についていなかったり、主に言葉や習慣の違いから来るコミュニケーション不足などが原因で発生する納期や品質に関するトラブルも増えている。

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1社目の聞き取りのまとめ。

ベトナム人の特徴は、勤勉、真面目、手先が器用、チームプレーが得意、向上心が高いといったところ。

社会状況は、国民が三種の神器を買い始めているくらいの状況で、全体的にマイホーム志向。
バイクが主な交通手段で、バイクのことを一般的に「ホンダ」と呼ぶ。携帯電話、インターネットが爆発的に普及。

日本との関係は、国際問題がなく、親日意識が高い。
ODAは日本が最大の支援国であり、日本のODAによってタンソンニャット国際空港やカントー橋、ハイヴァントンネルなどベトナムの基幹インフラを建設・支援をしている。

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開発の効率は、日本人を基準にして、0.8を目指しているが、既に0.82のレベルに達している。

社員の平均年齢は26歳から27歳。給与条件は大卒で初任給は二万円程度。(平均給与で五万円程度。)
般のプログラマーの募集をかければ十倍くらいの応募がある。
ベトナム人の良さは、真面目さと素直さ。ただ、日本人と比較すると創造性や先見性にかける部分がある気がする。

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2社目の聞き取りのまとめ。

なぜベトナムに進出したかといえば、これから日本は人口が減るが、ベトナムはこれから人口が増える。ベトナムは人口の六割が三十代以下。国民の平均年齢は27歳(中国は35歳、日本は45歳)で、1960年代の日本と同じ状況。これから国が発展するという夢があるので、みんなが前向き。

ベトナムの強みは、国民が若い・素直・チームワークがいいの3点。 特に素直さが目立ち、会社でNo.1になろうと目標をたてると、みんなが一丸になれるし、怒るとちゃんと反省してくれる。しかし、それは裏返せば、経験がない、気が効かないといったマイナス面でもある。

今、ベトナムは進出ラッシュ。労賃が安く、クオリティーは日本と変わらないので、IT関連企業がこの半年でも20社くらい出てくる。ベトナム人の技術力は高い。英語も日本人よりできるので、プログラミングにはかえって有利。

神谷も質問しました。
 御社のような活動が今後広がるにつれて、日本の空洞化がすすむが、それは止むを得ないと思う。
御社にとって、日本人に限って言えばどんな人材を求めているか?

正直にいって、ベトナム人と同じことしかできない人材ならいらない。やはり、高いマネージメント能力をもとめる。
内情は、ベトナム人の能力が高まってきているので、社内の日本人は肩身が狭くなっている。日本人の人材育成については私達も悩んでいる。

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やはり最初は社員教育で苦労されたことがよく分かりました。そこを乗り越えられたので、今の会社の成長があるのだと思います。

素直で勉強熱心なところが、中国などと比べても大変好印象だとのこと。その素直さがあるから企業も頑張って育成できるのですね。

しかも、人件費は日本人の10分の1ほど、それで日本人と同等の仕事をしてくれるのであれば、

それは私が経営者ならこちらを雇います。国に対して申し訳ない気持ちはするけれども、やはり企業は生き残りをかけたサバイバルをしているので、義理や人情だけではどうしようもない事があります。

また、視察中にベトナムの方が作った日本語のスマートフォンアプリを見せてもらいました。我々が何気なく使っているアプリなどもベトナム人の方がつくっていたりするんですね。

まさに日本が空洞化していくポイントを見れた気がしました。

これからの若者には、日本人が日本でしかできない仕事の技術や才能を身につけてもらい。

そうでないとこれから本当に太刀打ちできなくなります。

 

教育現場の視察

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今回は公立の中学校を訪問させてもらい、校長先生と意見交換。

ベトナムでは小学校は5年で、中学校は4年間通います。

2003年に国際交流基金の「ベトナム中等学校における日本語教育試行プロジェクト」が始まっており、当校はその対象校。ホーチミン市では中学校2校、高校が3校重点教育校になっていて、第一外国語を日本語にして、第二外国語を英語にするそうです。授業数はともに週3時間。

ただ、外国語を二つ学ぶのは相当大変なので、1学年8クラスのうち成績の優秀な上位2クラスでのみ、日本語を教えています。

その2クラスでは、卒業試験も日本語で受けないといけないそうで、そこまで徹底しているのはホーチミンでもここだけだそうです。

日本人の先生も一人いて教え方が上手いことや、英語しか選択肢がなかったところに日本語が加わったこと、進出の増えてきた日本企業への就職チャンスが増えるので、日本語クラスへの希望は大変多いそうです。

また、年に一度は当校からも日本へ学生を派遣し、日本からも2校ほどの学校が短期交流で訪れるそうです。

*オーストラリアではもっと日本語教育を政府が後押しすべき、と感じましたが、ベトナムではこうしてちゃんと進めているんです。勉強不足でした。

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後半は、日本語を選択する中学校4年生と少し交流させてもらいました。彼らが日本語で私に質問し、私が日本語で回答すると言う容です。

15歳の生徒さんらでしたが、日本語のレベルが高くて驚きました。日本の語学教育は本当に考えないといけません。

また、彼らは本当に純粋で、真っ直ぐにこっちにぶつかってきます。日本の中学生にももちろんそうした子はいますが、

日本人は少しすれている感じがします。情報化の影響でしょうか。ませているのでしょうか。

肌で違いは感じても、その違い理由を上手く見つけることはできませんでした。

 

ただ、子供たちに将来の夢を聞くとこたえられる子が少なかったのも印象的です。

校長先生と話していても感じたのですが、どうもベトナムではまだ明確な教育ビジョンのようなものがなさそうです。

シンガポールなどはかなり明確でしたから、そのギャップに驚きました。

通訳をしてくれた方が、ちらっと話してくれましたが、共産党の一党支配なので、教育のカリキュラムがうまく作れておらず、多面的な教育ができていないという印象を少し持ちました。

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中学校の他には、ベトナム人の社会人に日本語と日本の就労マナーを教え、日本や日本企業に人材を派遣する会社を訪問しました。

ベトナム政府は、中国との関係がよくないので、日本やアメリカとの密な関係を気付きたいとのことで、日本企業への派遣には積極的だそうです。

ただ、やはり日本とベトナムの文化や物事の考え方の違いが、現場での大きな摩擦を生むので、働く前に言語とともに生活習慣やマナーを教えておく必要があると考えられての事業です。

日本での就業経験もある経営者がおっしゃっていましたが、やはり日本人の就労意識はかなり高いそうです。日本人なら当たり前にすることを、ベトナム人にしてもらうには、相当上手く説得していかないと難しいとのこと。

日本人が褒めて頂けた気がして、少しうれしい意見交換でした。

 

オプション

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今回はIT関連の会社の社長さんらとの視察だったので、電化製品の店にいって、品揃えや価格を調べたり、

夜はベトナムで起業する50人ほどの日本人経営者の皆さんと飲み会もしました。

一緒に行った社長らも、現地の日本人も、みんな元気でやる気にあるれた方ばかりでした。

類は友を呼ぶ。

やはりやる気のある人はどんどんと外に出て行くのですね。

そして、彼らの共通点は世界を見てビジネスをしておられることです。

政治家にかけているものですし、多くの学生にもかけているものではないでしょうか。

世界の情勢より、自分の選挙や自分の就職のことで頭がいっぱいの人が多い気がします。

今回の経営者らとの交流は、私の視野を一段と広げてくれるものでした。

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他にも知り合いの日本人の方が、何人もベトナムに進出しておられるのでそれぞれ意見交換をさせていただいてきました。

最後に印象に残ったお話を一つ。

「ベトナム人は、日本に憧れ、日本のことが好きなのに、あまり日本のことを知らない。(アニメのことぐらい、、)

しかし、韓国のことはよく知っている。

それはなぜか。テレビをつければいつでも韓流ドラマがやっているから。

韓国は、放映権を安くするなどして、どんどんと韓国文化を浸透させている。

と同時にサムソンやLGの商品も国家レベルで売り込んでいる。戦略が見て取れる。

日本にもそうした戦略が今後求められるだろう!!」

 

このお話をしてくださった方は、ホーチミンの最大ショッピングモールに広いスペースをかりて、

ジャパンプロダクトをいろいろ販売される計画を進めておられました。

まず、日本のことをもっと知ってもらいたいというのが、彼の会社の理念だそうで、

政府に頼るのではなく、民間の会社の力で突破口を開こうとされていました。

熱くていいですよね。

 

今回の視察で、日本人のよさを改めて感じました。

また今回頂いたご縁は、日本に帰っても広がるでしょう!

もし、このブログをみてベトナムに興味を持った方がいらっしゃれば、ベトナムで頑張る日本人をいろいろ紹介できると思います。

 

また、2月、3月にくる大学生のインターンにもベトナムで研修するプランを話し合ってきました。

語ることはまだまだあるんですが、今回はこの辺で。

 

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