視察テーマ:
盛岡市(岩手県) ①図書館運営の民間委託について
金沢市 ①ごみ収集の有料化政策について、
②スポーツ振興について
11月1日、
岩手県立図書館を訪れて、図書館の指定管理者による運営委託、民間委託などのお話を伺いました。
まず、当日は当館に
「ビジネス支援コーナー」がオープンする日で、その式典を少し拝見した後、「図書館コンシェルジュ」による館内ガイドをして頂きました。
「ビジネス支援コーナー」の設置は、旧来の利用者が情報を求めて図書館に来るという概念から、図書館側が課題を設定し、
その解決策を利用者に示すという情報発信型の取組みです。コーナーには就職サポートや語学習得、
主婦の就業支援に関わる書籍やメディアがおかれており、カウンセラーによる就職相談書も設置されていました。吹田のジョブカフェに、
就職の勉強をするコーナーがくっついた感じとイメージしてもらえれば分かりやすいかと思います。
指定管理の総括責任者である小林さん曰く、
今後は「行動する図書館」が必要であるとのこと。こうしたチャレンジの精神は公務員の発想ではなかなか生まれてこないので、
この点だけ見ても指定管理の効果がでているように感じました。
「図書館コンシェルジュ」については、当館に3名配置されており、資料者の様々なニーズに応えています。多い月では700件の、
案内や説明をされるとの事。また、接客の講習も各自が受け、ホテルレベルの応対を目指しているとのことでした。
岩手ゆかりの宮沢賢治、石川啄木の蔵書が多く、写真の本はすべて宮沢賢治に関する書籍です。
TRCの小林さんと北条さん。話が盛り上がり3時間半もお時間を取らせてしまいました。
図書館の運営を指定管理者に任せることのメリットについては、
①
行政職員ではない様々なキャリアをもったスタッフが運営することで、
運営に柔軟性が生まれる。
②
公務員のように職員の移動がないため、
スタッフの専門性が高まる。
③
職員に身分保障がないため、
スタッフ個人個人が職業に対し向上心をもって取り組める。
④複数スタッフのシェアワークが可能となり、
人件費のコストダウンが図れる。
といったことを教えて頂きました。
また、
当館の指定管理を受けているTRCという会社は、公立学校の図書館運営にも関わっていることがわかり、
後日吹田きてくださり、そちらの方の説明もして頂けることになりました。
総括管理者の小林さんを含め、
職員の皆さんがいきいきと仕事をしていらっしゃることに感銘を受けた視察でしたし、
お話を聞いていても楽しんで仕事をしていらっしゃる様子が手に取るように分かりました。
今回の視察をきっかけに吹田の図書館運営についても調査し、
改善に努めていこうと思います。
2日については、仙台市役所にて2つの事業のレクチャーを受けました。
1点目は、ごみ収集の有料化について。
この事業は、
ごみの減量と収益と負担の公平化を目的に進められた事業で、市民や審議会の意見を元に市長提案で進められたものであるとのことでした。
綿密な市民に対する説明を進めた後の実施を計画したところ、
大方の市民の同意をえて、議会で若干の修正を経た後、順調に実施が進んだとのことでした。
結果、
年間で14億の事業収入が生まれ(仙台市の人口は103万人)、ごみの送料が減り、
業者委託しているごみの回収費用も下がったとの事。
職員の方も、
市民意識が想像以上に高かったと驚いたそうです。
市民や議会の反発が多かったのではないかと思い、
視察に行ったのでこの点は我々も驚きました。ゴミ回収の有料化は、環境行政の下、全国的な流れであり、
いずれ吹田市も取組みを考えねばならないと思っています。そのときには今回の成功例を是非参考にさせて頂きたいと思います。
2点目の項目は、スポーツ振興について。
仙台市は、
東北地方の中心都市であり、プロの野球チーム、サッカーチーム、バスケットチームの拠点がある町です。
吹田市にもガンバ大阪などのスポーツチームがありますから、行政としてそうしたスポーツチームと連携し、
どういったまちづくりや市民の健康促進に努めているのかを聞きたいと思い、お話をお聞きしてきました。
この点については、
現在の計画段階では、スポーツチームができて間もないことからまずは、地域に密着してもらうことを行政が支援していくという段階で、
スポーツ教室などのイベント以外には取り立てて、連携している事例はないとの事でした。
議会でスポーツコミッションの質問をしましたが、
やはりそうした観点については日本の自治体はまだ取組みが進んでいないのが現状ではないかと感じました。
*番外
視察の空き時間で石川啄木の新婚時代の家や宮沢賢治の手書き原稿などを見てきました。
寒い東北の地で先人は何を思い生きていたのか。
今年は全国を飛び回っていますが、
土地ごとに風土やものの考え方が少しずつ違うことが良く分かります。それはその土地の文化や歴史に基づく何かが関わっています。
そうしたものしっかり学んでから、話を聞いて政策を学んでいかないと視察も意味が薄れます。
もっと広く、深く、日本のことを知りたいと感じた2日間でした。