今回の視察テーマは食育と青少年育成について
まず、食育については竹富町の小浜小中学校を視察してきました。
当校は小中併置校で、全校生徒も約50名と小規模な学校です。
そこの花城校長は、一粒のお米が育ち人の口に入るまでに様々な努力や苦労があることを理解させ、食の大切さを認識させ、
同時に食の安全が問題となる今日、子供たち自身が食に対しての意識を高め、
食生活を見つめるきっかけとしたい、との思いで稲作や野菜の栽培を数年前から始められている。
体験に取り組む子供たちからは「自分たちが収穫した野菜だと思うとおいしく感じる」という意見が聞かれ、
学校給食の食べ残しはほとんどないとのこと。また、「農薬を使っていないので、安心して食べられる」という児童もいて、
食に対する意識の変化が顕著に出ているという。さらに、農園の運営には保護者の協力も頂いており、親子で農園の話をする中で、
子供の食に対する意識の変化が保護者にも影響を与えているそうだ。
さらに学校では、「命の大切さ」を子供たちに伝える目的を持って、馬やヤギ、ニワトリを飼育している。
命とのふれあいや動物を慈しむ体験に加え、生き物を育てることの役割と責任を強く認識させることで、
子供たちに命の尊さやかけがえのなさを伝えたいという意図だ。また、子供たちは馬の糞を回収し、農園で肥料として使っている。これは、
有機栽培の意義を理解させるとともに、
環境問題を見据えて地球全体の物質循環について考えさせようとしておられるとのこと。
また、花城校長は子供たちに伝統芸能の三味線や笛を教えておられる。こうした楽器は祭事に使うもので、
そもそも自然の恵みに感謝するために奏でていたとのことを子供らに伝えることで、食ー命ー伝統(祭り)といった繋がりを子供のうちに理解させ、
自分の住む街への理解や郷土への愛情を育みたいとのことであった。
農業体験や伝統芸能の練習を単なる体験で終わらせることなく、その活動を通じてことの本質を伝える教育をしたいとの校長の意見に、
現代の教育の問題点を指摘された気がした。食べることの本質、お祭りの本質、
学習の本質が見えていない教育をしていないだろうかということだ。やってはいても魂が入っていないのでは意味がない。
それは政治でも同じことである。
当たり前すぎることだが、校長の意見は核心をついている。さらに、校長は
「自分のやっている取り組みがメディアなどで取り上げられるが、別にたいしたことをしているつもりはない。
子供たちのことや学校の環境を考えてできる限りのことをするのは当然。研究などと言うつもりは全くない。大切なことは、
今こうした取り組みをしている子供たちがどのように育ってくれるかということ。それを見守らなければ、今の取り組みの評価などできない」
と考えておられる。
有意義な取り組みを視察させていただけた。しかし取り組みの良し悪し以上に、若い人の少ない小さな島だからこそ、
本当に一人一人の子供が大切と考えておられる学校現場の雰囲気が子供の成長の一番の糧なのだということを感じた視察でもあった。
次に、石垣市の民間団体「やいま浪漫の会」が支える「オヤケアカハチ」
子供演劇の視察ついて
この取り組みは、市の支援で始められた「リーダーズ養成講座」の活動が下になっている。年間40万円ほどの市の補助で、
リーダー育成を目的に、8年前から進められている事業である。4年目以降は市の援助も切られ、完全な自主財源で運営されている。
子供劇に参加するのは、小学校4年生から高校3年生までの子供たち。
最初の脚本などは地域の英雄の生き様をテーマに大人が作っているが、現在は演技指導や脚本の修正など全て子供達が行っている。
こうした取り組み中で、先輩が後輩を指導するという縦のつながりが生まれ、社会のルールや礼儀作法までも、リーダーにさえ伝えておけば下級生にしっかり伝わるとのこと。
演技をする子供たちは、本当に生き生きしており、見ているこちらも嬉しくなるほどだ。
吹田の子供たちにはこうした自己表現の場はあるのだろうか、と自問自答してしまう。
練習は毎週2日間3時間ずつと消して気軽なものではないが、この活動に参加した子供たちは、
大体7~8割が高校の卒業まで活動を続けるとのこと。活動に参加すると子供の様子が全く変わるので、
親が感動し応援してくれるようになるとのことだ。実際不登校になっていた生徒が活動に参加し、
学校に戻って優秀な成績で卒業したという例も少なくない。また、演技やダンスを通じて子供の表現力が飛躍的にあがり、
弁論大会などは毎年グループの子供の中から九州代表が出ているとのこと。
劇のテーマが、地域の偉人伝、そしてダンスは地域の伝統芸能をアレンジしたものも多い。支援する大人たちは、
こうした活動を通じて子供たちに地域への愛着を深めてもらい、この地域に残って次の世代を育てていって欲しいとの想いをもたれているようだ。
今回は、やいま浪漫の会の荷川取会長と橋爪事務局長、演技指導の松堂氏(勝連町の演劇OB、21歳)からそれぞれ話を聞いたが、
お三方とも人づくりへの情熱が半端ではない、
我々も教育には熱心に取り組んでいるが、今回は圧倒されたというのが正直なところである。こうした情熱ある大人が子供の見本になって地域の教育力を高めておられるのだということも再認識できた視察であった。
吹田の教育関係者に、是非見てもらいたい取り組みである。
視察の全容
11月9日(月)
12:00~ 石垣島視察
案内してくださったのは、石垣市議会議員の中山氏。高台から石垣島の市街地のつくりを見せていただき、
町の開発や防衛問題について説明して下さった。
次に訪れたのは、生活用水をためるダム。島の水事情の説明を受けた。
三箇所目は、観光地で有名な川平湾。スーツでなくプライベートで来たかった(泣)
14:00~ やいま浪漫の会 橋爪事務局長からヒアリング
舞台の主人公 アカハチの銅像です。
15:30~ 建設中の石垣新空港現場視察
日本最後の地方空港になるといわれている空港です。島の交通事情や経済活動に大きな変化があるだろうということです。
天然記念物のカンムリワシもみつけました。
16:00~ やいま浪漫の会 荷川取会長からヒアリング
18:30~ 中山市議と懇談
10日(火)
8:00~ 小浜島 竹富町へ
小浜小中学校視察
校長先生との懇談。アットホームな授業風景
学校では、馬、ヤギ、にわとりを飼育。
子供たちと給食を頂きました。
校内の空き地には、畑がたくさんあります。
着替えて農園に行き、活動風景を見せていただきました。ちょとお手伝いも。
校長先生のご配慮で、藍ぞめの織物をつくる作業場も見せていただきました。
夜は、校長先生や地元の町会議員さんと意見交換。皆さんの地域や国への想いをお聞かせ頂きました。
11日(水)
舞台練習を視察
練習だけ見ても言葉では表せない感動を覚えます。一緒に参加した石川議員(吹田)、南出議員(泉大津)
もかなり良い刺激を受けたようです。
他の自治体の議員にも見てもらいたいです。