日々の活動やニュースに対する考え、視察の報告などをブログにまとめています。

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神谷宗幣 (かみやソウヘイ)
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2009年4月30日の対馬訪問のブログ

視察・研修報告 |

国境の島 対馬を視察して

総括

 私は青年会議所のメンバーの一人として、本年度「領土意識醸成」 署名活動に協力しています。この署名活動は、私達の領土のことをそれぞれが真剣に考え、

①北方領土の返還と、竹島の開放を要望する、

②国境の離島を守るための政策の策定を要望する、

といった内容で、関係省庁に国民の声を届けようというものです。

 その趣旨に賛同し、 今年2月から周囲の方々に署名をお願いしていたわけでありますが、頭ではある程度理解しているつもりでも、実際にそうした課題を抱えた地域を訪れたことはなく、「思い」ではなく 「知識」で署名活動を行っている自分に少し疑問を感じておりました。 中でも対馬の問題については理解が薄いと自覚しておりましたので、今年二月に産経新聞より出版された「対馬が危ない」 などを読んで、 勉強を始めようとしていた時期に知人の方のから「対馬を訪問し、自衛隊の方々の活動の様子を教えていただきます」 と聞いて、 これぞ 「天の声」と思い、国境の島 対馬」を訪問視察してきました。

 対馬の前に1日壱岐を訪問してから、二日目に対馬に入り、市役所での視察や、 現地の方との意見交換、史跡探索などしてきました。少しの史跡を回っただけですが、 対馬にあれほどの歴史が眠っていようとは思ってもみませんでした。それは、島の皆さんの意識の中にもしっかり根づいており、 本州以上に日本らしい日本文化が残っている地域である、 ということが私の対馬の第一印象でした。 そんな島を従来韓国の領土であったと主張する方々の意見が明らかな嘘であり、空論であるということを現地を訪れて改めて実感しました。

 また、事前の勉強で、 韓国資本が島の土地を買収しているといった問題と韓国側の一部の政治勢力が対馬の韓国領説を訴えているという問題を知っておりましたので、 そこに意識を持って現地で聞き取りをしましたが、この二つの動きには直接繋がりはなさそうだと感じました。前者の問題については、 自衛隊基地横の韓国資本のホテルを訪問したり、町を見て回った結果、韓国人の財布を当てにした単なる経済活動であろうと感じましたし、後者については、 市役所の方のお話や島の住民のお話から荒唐無稽な一部勢力の政治運動だと確信しました。ただ、後者については韓国の国会議員から 「対馬返還要求決議案」が出されていますし、 実際に現地で見かけた家族連れの観光客が、ここはもともと韓国の領土だと子供に教えているのを目にしましたので、 危機感を強めたことは確かです。

 さらに、 後半の二日間で対馬の陸海空の自衛隊の基地を訪問させていただきました。自衛隊の方のお話の中からは、 国境の島を守っているという使命感と誇りを感じ、心強く思いました。しかしそれと同時に、 例えば対馬最北端の海栗島を守っておられる航空自衛隊の方の平均的な駐屯期間は一人5年と聞いて、あのような「辺要」 の地で5年もの時間を国防に費やす私と同世代の隊員の皆さんの身の上を思うと、申し訳ない思いも抱きました。 しかし、国防のためにはなくてはならない任務ですから、 その任についておられる方々に感謝と尊敬の念を持つことを忘れてはならないと意を強めた視察でした。

 

 私は、今回の訪問は一人の市議会議員の活動をしては、 枠を外れたものかとも思っています。しかし、どの国にも国境はあり、みんなそこは守っているわけです。対馬も自衛隊のみならず、 そこに住むという形で島民の皆さんも国防を果たしてくださっているわけで、そうした方々の存在があるからこそ、 我々は安心して国内のそれぞれの地域で生活していられるわけでありますから、 そうした現実を少しでも多くの市民の方に実体験として伝えることが、市民の方の「防衛や防災の意識」や「国や地域に対する感謝の念」 を向上させることにつながるなら、それは市会議員としての本分に反することではないと考えます。

 そして、上記のような思いをとりわけ強くとっていかなければならないのが、 私達若い世代の日本人ではないかと思っています。私は、普段からそうした趣旨の発言をしているわけでありますが、 どうしても知識先行になりがちですので、まず、自分が率先して行動し、 その経験をもって周囲にメッセージを送っていきたいと思い、今回無理やり時間を開けて私費で視察をしてきました。

 今回の訪問を通して、対馬のような国境の島の問題は、 過疎化などに伴う経済的な問題と島に住む内側の人・島外の我々日本人の意識の問題の両面からアプローチする必要があると痛感しました。 単なる経済的援助でも、精神論だけの訴えでも解決の難しい、我々日本人すべてに該当する課題です。「そうした課題があるということに多くの皆さんに関心を持ってもらいたい」 これが今回の訪問で持った思いであり、そのために自分に何ができるかを今後考えていきたいと思います。

対馬が危ない―対馬を席巻する韓国資本今回の視察のきっかけになった参考書

視察の様子

4月23日 壱岐

早朝に大阪を出て、飛行機、高速船で昼前に壱岐に到着。

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壱岐には高い山はなく、ゆるやかな地形で農地もかなり確保できる島でした。

沖縄を連想しました。

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写真左、元寇で元の軍と戦い、島を守った少弐資時を祭った壱岐神社。

写真中、豊臣秀吉の朝鮮出兵時に建設された勝本城跡。

写真右、第二次世界大戦時に作られた砲台のあと。

壱岐の歴史は戦いの歴史でした。

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勝本の市場では、地元の方といろいろお話させていただきました。

23日の夜は、壱岐の法テラスで活躍されておられる同世代の浦崎弁護士と長門弁護士を訪問し、島の課題や経済状況、 島民の様子など多岐にわたるお話をお聞きしてきました。

弁護士には地域の抱える様々な問題が相談として持ち込まれます。 政治家になっていなければ、私がやりたかった司法過疎地での弁護士活動。関心をもって実際のお話を聞くと、地方の窮状、 特に離島の課題がよくわかりました。

* 法テラス

総合法律支援法に基づいて設立された法人。全国どこでも法的トラブルを解決するための情報サービスを受けられる社会を目指して設立された機関

4月24日~26日 対馬

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対馬に到着し、突撃視察させていただいた対馬市役所。 アポなしでの訪問であったが、1時間半の時間をとって職員の方が島の現状を説明してくださった。

・韓国資本の土地の買収問題と、領土問題は直接的には(今のところ) リンクしていない。

   img016 韓国人の観光客は昨年のウォンの暴落以来激減。

 それに伴い、韓国資本の進出もストップしている。 そもそも韓国資本の進出は、韓国の観光客を受け入れる商業施設がない所に目をつけた経済活動であると考える。 島民はあまり商売が上手でなく、そこに付け込まれた形。

・観光客のマナーは改善されてきている。数年前より随分ましに。

 (それでも釣り客はルールを守っていない人も多い。 魚が取れなくなってきているので、そこにストレスを感じる島民との感情的な摩擦がある)

・韓国・中国から流れてくるごみ問題が深刻。 対馬の沿岸総距離は900㌔以上、市単体でそのすべての清掃・環境保全は不可能

 →今年度から国が地域指定をして直轄事業で清掃をしてくれるが、 あくまで一部。

 →漂着ゴミは塩をかぶっているので島内の処理施設では処分できない。 北九州まで持って行って処分。

・島に産業が根付かないので、若者が島を出ていく。 人口はピーク時の7万人から3万6千人に減少。

 今後は、水産加工業や観光産業に力を入れていきたい。

・人口減少に歯止めをかけるため、 現状700から800人いる自衛官駐屯を増やしてもらえればと思う。家族を含めればそれだけでかなりの人口維持となり、 島の経済の支えとなる。

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金田城跡 663年の白村江の戦いで日本軍が敗れた後、 国の防戦の前線基地として667年に天智天皇の命で防人によって建設された城のあと。

防人の歌 (万葉集)

水鳥の、 立ちの急ぎに、父母(ちちはは)に、物言(もの)はず来(け)にて、今ぞ悔(くや)しき

意味: 水鳥が飛びたつように慌(あわただ)しく支度をして、 父母にちゃんと別れを言わずに来てしまって、今はそれが悔やまれます。

先人が家族との別れを惜しんでこの地にきてこんな城を作って国を守ろうとしたのかと思うと感動を覚えました。

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1274年、文永の役で4万数千の元・ 高麗の連合軍をたった200人で迎え撃った宗助国らの奮戦を称える地。

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秀吉の朝鮮出兵時に建てられた清水城跡、伊達政宗らもおとづれたそうです。

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対馬藩主宗家の菩提寺万松院と武家屋敷跡。 対馬藩は朝鮮との貿易で江戸時代には10万石の格式を与えられていた。しかし、秀吉の出兵の後、江戸幕府になった後、 外交の再開には10年近い年月がかかり、藩主はかなりの苦労をしたことを学んだ。

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日露戦争時の軍の倉庫

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第二次世界大戦時の砲台跡と基地

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対馬でも公設弁護士事務所の廣部弁護士と懇談。 地元の名物料理を頂きながら、また島の様子を教えて頂きました。島民の経済的疲弊は想像以上のようです。

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メディアで話題に上がる韓国展望台

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対馬本島から船で渡らねばならない海栗島。 航空自衛隊のレーダー基地があります。基地を訪問し、自衛隊の活動を説明していただきました。 隊員の方に聞くとここでの平均駐屯期間は5年くらいだそうです。何もないところですから若い隊員の方は「自分の青春をかえせ」 と言いたくなるほどだとか。まさに現代の防人の仕事をしてくださっています。

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厳島にある陸上自衛隊基地。隊のニックネームは「やまねこ」。 島の防衛だけでなく、韓国との国際交流事業などにもかなりの協力をしているとのことでした。

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3つめは、海上自衛隊の基地。かつての空港を買い取って、 ぺリポートにしているようです。主に救急ヘリの出動任務などに当たられているとのこと。離島での救急任務が主な仕事だそうです。

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先の海上自衛隊基地の真横の土地にできた韓国資本のリゾート宿泊施設。 お願いして中に入れてもらいましたが、メディアで騒がれているたほどの危機感をもつ施設ではないと感じました。 あまり繁盛しそうにはありません。

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対馬で見つけた本。30代のスーパーの社長(女性) が島民が島のことをもっとよく知り、島に愛情と誇りをもちましょうと書かれた本です。帰りの飛行機で全部読みましたが、 作者の思いがよくわかる良い本でした。

最後に

 昨年からメディアで騒がれている「対馬が危ない」 というキャッチフレーズには多少の誇張があると感じる。しかし、それくらい言わないとわれわれは関心を向けないことも確かだ。

 対韓国の問題は感情的にならず、歴史資料などの基づいて、 冷静に断固とした対応で臨めば現状では問題がないのではないかと感じる。それ以上の問題は対日本人の問題である。

 島外の我々は離島に暮らす人々、 特に国境の島の人々の生活に関心を向けることが課題だ。離島というだけでかなりの格差がある、 市場原理で競争すれば離島の人々が勝てるはずはなく、今後ますます島の人口は減るだろう。そこには何らかの保護政策が必要と考える。

 しかし、 その保護だけを当てにされても島の経済や島民の生活は向上しないであろう。それは先に紹介した本でも書いてあるとおり島民の方々が、 島を愛し誇りをもって島を守るという決意を固めて頂かなければ、 外部からの援助は底の抜けたバケツに水を注ぐようなものになると考えるからだ。

 島の内と外からの意識的、物的改革が今求められている。

 「辺要」を守る自衛隊の方々の努力にも感謝したい。 誰かがやねばならない仕事をやってくださっている。島民からは理解され、感謝されていると思うが、 大多数の国民からはそこに光は当たらない。逆に批判を受けることさえある。尊い仕事である。

 国の法律を変えたり、自衛隊を増員することはすぐには難しい。では、 我々に何ができるか。それはまず、関心をもつことであろう。そして、できたら一度対馬や壱岐を訪れてもらいたいと思う。

 戦争の被害というとすぐに沖縄の話になるが、 歴史を遡れば対馬は沖縄以上に何度も戦争の最前線として被害を受けながら、国を支えてきた地域だ。今回の訪問でそれがよくわかった。 ある島民の方がおっしゃっていた。「また戦争が起きれば、ここが最前線だ。いつもそうだ」と。対馬の歴史は奥が深い。

 そうした島を訪れ、歴史を現地で感じ、 国を守るということをみんなで考えていきただければと思う。そして、島でお金を使う。 韓国人が多いと言ってもたかが数万人の観光客だ。我々日本人がブームに乗ってみんなで島に行けば、 その経済効果は数万人の韓国人の比ではない。また、島民以外の人間が知恵とお金を出して島に産業を興すこともいい策かもしれない。 お金が回り人が住むようになれば、それが最大の国の守りになると考える。

 皆が自分のことだけ考えて、 今後も島の人口が減っていくようなことになれば、、、、国境は荒らされ摩擦が生じ、結局皆に付けが回ってくるように思う。

雑感ではあるが、対馬を訪問し以上のような思いを持った。 私はまた対馬に歴史を感じに行きたいと思う。

 最後に、武田信玄の言葉で締めくくりたい

人は城、 人は石垣、人は堀。情けは味方、仇は敵なり

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