平成20年度 吹田市教育研究大会
*大会開催趣旨
今日的教育課題や吹田市の重点施策について全ての教職員が学ぶ場を設けることで、
職員の資質向上を図り学校・園での教育活動の活性化をめざすとともに、吹田市の教育について、広く市民を含めた外部への発信の場とする。
主催 吹田市教育委員会
日程 全体会 10~12時
分科会前半 13時半~15時 後半 15時半~17時
昨年の1200人を大きく上回る1400人の参加で、
メイシアターの大ホールにも入りきれないほどの盛況振りでした。
基調講演は「今、学校教育に求められるものー新学習指導要領の理念ー」といったタイトルで、
東京大学大学院の市川伸一教授にお話いただきました。
基調講演では、教育の現場では今「教えて考えさせる授業」が求められる。これまでの日本の教育の経験からどちらに偏ってもいけない。
ということで、子どもたちを教育することの難しさを感じました。実際に「教えて考えさせる授業」とはどういうものなのか、
映像でみせて頂いたりと、とてもわかりやすい講演でした。周りは学校の先生方でしたので、教育者も学んでいる、
という現場にたちあっていることが、今までになかったので不思議でした。(青木)
市川伸一氏による基調講演をお聞きしました。問題を提示し、生徒の自力解決を促し、確認、ドリルという、「教えずに考えさせる」
教育法ではなく、教師から説明をし、理解を確認、それを深化させ、自己評価活動へつなげる「教えて考えさせる」
方法が求められているようです。どのぐらい丁寧に「教える」こかのさじ加減や、「考えさせる」
ための課題に魅力を与えることが難しく、今後考えていく必要があると思いました。(粂谷)
「教えて考えさせる授業の提案」がメインテーマでしたが、お話を聞いたかぎり正直自分の中では「当たり前なのでは?」と思いました。
この当たり前ができない慣習が根付いてしまっている授業形態なのかと思うと薄ら寒く感じました。(川崎)
展示・
ブース報告
休憩時間には展示室での研究展示を拝見しました。15もの展示があり、
インターン生も見入っていました!
分科会 前半
小学校英語活動
昨年に続いて小学校の英語活動の分科会に参加しました。
日本人の担任による英語活動の模擬授業や近隣市での取り組みの様子、
文科省から配られる英語ノートの活用方法など盛りだくさんの内容で、私自身も大変勉強になりました。
参加しておられた先生方の顔を見ても、昨年までの「できるだろうか」という不安の表情から、
自分達もやって見ようをいう前向きなやる気のある表情を感じ取れたので、大変心強く思いました。(神谷)
特別支援教育
学習において遅れがみられたり、行動に問題のある生徒へのアプローチの方法についての研究発表です。A君、B君というように個別に集中して対処していくのではなく、学級、あるいは学年、
学校単位で一人ひとりの教育ニーズに応えることが重要だと知りました。(粂谷)
学ぶ意欲と思考力を育てる
立命館小学校での学習法について聞いたのですが、なるほどと感心することがたくさんありました。辞書引き学習法という勉強法では、調べたところに付箋を貼って、
自分で学んだという自信をつけさせます。漢字の学習は、白川式という漢字を意味で覚えるやり方で、
腑に落ちやすいものにしていました。学習と遊びをつなぎ合わせることによって、意欲を燃やさせるのがポイントだそうです。
(山本)
いきいき元気アップ
いきいき元気アップでは、ニュージーランドへの海外研修の報告、すぐに役立つ手遊び・体操など、音楽の授業での一学期の取組、
の3つにわかれていました。研修報告では、ニュージーランドの教育は地域と密接に結びついたものであり、
ニュージーランドの先生方は自信に溢れていたといことで、吹田への提言として、・確固たる学校経営・
いい先生を育てるいい学校をアピールする・個性を確立し、独立した教育・新しい提案を盛り込む懐の広さ・教育実践を継続する意識・
自信に満ちた教師像 をあげていました。 ほかは手遊びや体操、合唱などをし、とても元気のでるものでした。(青木)
明日からの授業に役立つミニ模擬授業
内容:読む、書く、話す、聞く、言語事項の授業のススメ
感想:それぞれの先生がそれぞれに工夫された授業を繰り広げていて楽しく勉強をするというのはこのことなのだな、と思いました。
小中一貫教育における事務連携ー教職員が元気で明るい学校に!
ー
内容:竹見台中学の小中一貫教育での事務連携の利便さについての報告
感想:小中一貫教育における事務連携のメリットとして、
様々なところで効率化が図られていて学校も無駄を省く努力をしているのだなと感じました。
分科会 後半
食育講演会
食事を通して子供を育てることといった話に始まり、
家族のあり方についてまでの多岐にわたるお話で、感銘を受けました。
食事といってもただ食べているだけでは駄目だという、当たり前のことを再認識しました。(神谷)
言語力育成
生徒のコミュニケーション能力育成についての研究発表です。幼稚園児には紙芝居を読み聴かせ、相手の気持ちを読み取れるよう促し、
思春期の中学生には自分の意見を積極的に表現できるよう、授業に討論の場を設けたりというように、
年齢別に教育法をあわせていくことが大切だと学びました。
また、小学生低学年の読み書きのつまずきに対する具体的な指導事例の紹介がありました。(粂谷)
就学前の育ち、「0歳から就学前までの子どもの育ちを考える」
吹田市の異年齢児学級保育についての報告、幼少引き継ぎの課題について、2つにわかれていました。異年齢児学級保育では、
年下を思いやる心であったり、頼られることで自信につながったり、自己肯定になるといったメリットが5年目にして確立されてきている。
といったもので、幼少引き継ぎの課題については、子供たちの小学校生活をよりよいものにするためには、小学校と幼稚園の連携、さらには、
小学校と幼稚園と保護者の連携が必要となる。というものでした。正直、幼少引き継ぎについて、こんなにも課題があるとは思いませんでした。
(青木)
小中一貫教育
小学校から中学校に上がると、勉強が分からなくなったり、不登校の児童が増えたりするのを防ぐために小中で交流を深め、授業や生徒指導の違いを埋める取り組みが各地域ごとに行われていました。
遅刻や早退をしがちな生徒を中学校に報告し、不登校を未然に防げたケースもあったそうです。
勉強についていけないという不安を取り除く、教師の勉強面での役割が大きいのではないかと思います。(山本)
人権教育
内容:中世における被差別者からその非合理性を学ぶ。
感想:医者、田楽猿楽、巫女さん、鍛冶職人、大工。
今では神聖視されているものでも蔑視されていたのに驚くとともになんら根拠のない理由で差別されることに憤りを感じました。(川崎)
*
神谷コメント
第1回の昨年と比べても、
よりグレードアップした研究大会だったと思います。私も教育に関る多くの勉強会や講演会に参加していますが、
わざわざ遠くへ行かずとも地元吹田で大変ためになるお話が聞けたことを本当に嬉しく思いますし、
1400人もの先生方が集ってこんな大規模な研究会を開いている自治体は全国的に見ても他にないのではないかと思いました。
私はホームページでも頑張っておられる先生方を応援し、
市民の学校に対する信頼を高めると共に、先生方のやる気を上げてもらいたいと願っております。
教育は「人」でありますから、
我々議員がどんなよい制度を考えても現場の先生方の気持ちがなければ教育効果は全く上がりません。今回の研究大会は「人」
の育成に繋がり「やる気」を高める本当によい契機になったと思います。
前教育長の発案で始まったこのような試みを、
吹田の教育行政の誇りとして全国に発信すると共に、準備は大変だと思いますが、今後も末永く続けていただきたいと思います。
運営者の皆様おつかれ様でした!!